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【review】親なるもの断崖

感想:現在、途上国であるような問題は、少し前まで自分の問題だったかもしれない事実。


昭和の初め、北の大地には、 貧困と時代に翻弄される、 哀しい少女たちがいた!! 日本漫画家協会賞優秀賞受賞作品 昭和2年4月、北の海を渡り、 4人の少女が北海道室蘭の幕西遊郭に売られてきた。 松恵16歳、その妹梅11歳、武子13歳。道子11歳。 松恵は着いたその日に客をとらされ、首を吊った。 奈落の底で、少女たちの血を吐くような人生が始まった!!

出版社: 宙出版
発売日: 2015/7/10
(Amazonより)





とりあえず、売春防止法の成立が昭和33年だということに驚き。

ということは我々の母が産まれるくらいまで、祖母の時代はまさしく女性は「商品」であったと。
昭和33年って言ったら東京タワーが出来た年ですよ。

そんなもんか。そんなもんなんだなあ。
まあ、風習というか、近代化というのは、やはり中心部から行くと思うので舞台になった北海道なんかはかなり日本の中でも遅かったとは思うけれど。

ただ、お話全体では虐げられ、絶望しながらも生き抜く女性たちよりも、男性たちの時代や世間に翻弄されながら苦悩する生き方のほうが印象的でした。

第一部の主人公、お梅を女郎にし、陰ながら支えてきた直吉。

男女のように愛していたのかというと、何か違和感がある。

なんか、妹を思う兄のような……かと思えば崇拝者のように跪く。

彼の人生が詳細に語られることは無かったんだけど、愛しているような、憎いような、遊郭を生き抜く互いに無くてはならない存在なのに、幸せにはなれない関係。

そこをどこか冷めた目で踏み台にしていく、お梅と翻弄される直吉。

出てくる人に芯から悪い人はいないのに誰も幸せにはならない話。



もう一人は大河内さん。
お梅を身請けする人です。
言葉少なで、この人も今ひとつ本音は出てこないのですが。

この人の第一部のラストと第二部のラストの対比はとても印象的。

誰も幸せにはならない。
何も解決していない。
これからも沢山の困難が待ち受けているはず。


ただ、ラストシーン。
大河内さんに連れられたお梅の娘・道生の笑顔だけが、ささやかな希望のように描かれていました。

面白い、という言葉で済ませるのは難しい、そんな作品でした。

読んで損はないです。
損はないはずです。

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