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【review】ジブリの教科書2 天空の城ラピュタ


感想:スタジオジブリ設立と、女海賊ドーラの物語。

児童文学の系譜からみたラピュタの魅力とは?ドーラのようなイギリスの海賊はいたのか!?1986年公開の宮崎駿監督作品『天空の城ラピュタ』の奥行きを、森絵都、金原瑞人、夢枕獏、石田衣良、上橋菜穂子ら豪華執筆陣が読み解く。当時の制作現場の裏側からスタジオジブリ設立秘話まで、作品を十倍楽しく観るための決定本。

出版社: 文藝春秋
発売日: 2013/5/10


前回と同様、私の稚拙な説明を読むくらいだったら直接読んで頂いた方が良いです。

と、前置きをしたところで感想を。

前回の教科書・風の谷のナウシカが、宮崎駿監督の初めての長編アニメーション映画の話だとすれば、今回はスタジオジブリ設立の話が印象的でした。

天空の城ラピュタ作成秘話としては有名なパクさん(高畑勲監督)がナウシカで得た利益をドキュメンタリー映画の撮影で使い果たしてしまいそうになり(誤解がないように言っておくと、映画を作る、というのは元々あった話。)、鈴木プロデューサーが宮崎駿監督に相談したところ、天空の城ラピュタの脚本が出てきた、という話もありましたが。


面白かったのはスタジオジブリのスタジオ探し。
トップクラフト(風の谷のナウシカの製作会社)の原徹さん、鈴木敏夫さん、高畑勲プロデューサーで不動産屋を回ったが門前払いをされ続けたそうで。

で、結論が、「服装」。

原さん以外の二人は薄手のジャンパー姿だったから……って、出版社とはいえ会社員の鈴木さんもジャンパー?!

確かにジャンパーのオジサン2人にテナントは貸したくない……かも。

明らかに怪しそうだし。

で、更に鈴木さんが高畑さんに言ったのが

「高畑さんが悪い。いい年してその格好はない」

ってヒドい(笑)。

翌日高畑さんがジャケットを着てきて、吉祥寺で良い物件が見つかったそうですが。

ついでに、スタジオジブリの命名に関しては宮崎駿監督が

「イタリアの軍用偵察機にジブリっていうがある。スタジオジブリがいい」(←飛行機好き)

と、アルファベットを書いて見せたら、高畑勲監督が

「宮さん、これ、正確にはギブリって発音するんじゃないか?」(←言語に強い)

と抗議したそうで。
その抗議に対して宮崎駿監督の反論が

「いや、俺のイタリア人の友達がジブリだと言っている」

って、無茶苦茶な……!(笑)

でも、パッションの宮崎駿とクレバーな高畑勲さんの違いが良く出てます。


今回も、前回同様、執筆陣は豪華なのですが。とりあえず宮崎駿、高畑勲の二人のエピソードが面白すぎて霞む霞む。

天空の城ラピュタのアフレコ風景も、詳しく書かれていて、とても興味深いのですが、ムスカ役の寺田農さんがこの時声優初挑戦だったのには驚きました。

まあ、俳優さんなので……というのはあるのですが。

田中真弓さん、横沢啓子さんに全くひけを取ってないのが凄い。


更に、天空の城ラピュタそのものの話も。
ってゆうか、これに関しては女海賊ドーラ、その一言に尽きる。

私は、個人的にパズーが龍の巣を見つけたあとのゴリアテ接近のシーン。ネグリジェのまま外に飛び出したドーラが一言。

「このクソ忙しい時に!」

……何か忙しい時はいつも、このセリフが頭を過ぎるんですよね。


と、私も好きなドーラは作品の中の「母」であり、宮崎駿監督の母がモデルだそう。
(弟の宮崎至朗さん曰く、もう少し美人だった……とのことですが。)



豪快で、パワフルで決断力があって。
以外とその後の宮崎駿監督作品を見てもドーラに近いキャラクターっていない感じがするんですよね。

敵対、みたいな形で湯婆婆とか荒地の魔女とかはいますが……うーん、モロ、とか?
でも少し神がかり過ぎてる?


ともかく、ラピュタ上陸後、捕まったドーラを助けに脚の間からパズーが顔を出すシーンは、パズーの第二の誕生(大人としての誕生?)を意味するのでは?と指摘をしている人もいました。


そして、面白かったのは後半に載っているドーラのモデル、宮崎駿監督の実母や兄弟、実父のことに触れている宮崎至朗さんのお話。
家族ならではの視点で書かれていて、面白かったです。


全てに読む価値は十二分にありますが、特にこの宮崎至朗さんのお話と、鈴木敏夫さんのお話は特に読む価値あり、です。


是非、御一読を。


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