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【movie】『人類遺産』ニコラウス・ゲイハルター/『シン・ゴジラ』庵野秀明



review

『人類遺産』ニコラウス・ゲイハルター/『シン・ゴジラ』庵野秀明


今年は今までよりも映画も観ようかなー、と思いまして。
既に3月になっている時点でどうよ……とは思うのですが、まあ、細かい事は気にせず。

月に2本くらいを目標にぼちぼちやっていこうと思ってます。

ここで書く感想は、基本ネタバレ全開でいこうと思っているので、「これから観ます」という方はご遠慮ください。



人類遺産/ニコラウス・ゲイハルター


始まったその時から、水の落ちる音、鳥の鳴き声、風の吹く音、その風で何かが転がる音……

元々、廃墟のキーワードで記事を拾っていた時に知った映画だったのですが、公開前から公開が延期になり1回未定に。
で、3月に決まってからも終了日が未定、ということで慌てて観に行きました。

渋谷のイメージフォーラムという映画館で観たのですが、渋谷で単館映画を観たことはあったけど、こんなにマイナーなのは初めて。
でも、慣れた雰囲気の人もいたので(何か目的があって来ているというよりは、やっているのを観る、という雰囲気の人もいた)、映画好きの人には実は知られた映画館なのかな……?

この映画、スタートは多分、福島県。
多分、というのは何の説明もないんです。
ずーっと廃墟の固定された映像がパッ、パッと切り替わっていくだけで、字幕もナレーションもないんです。

なので、多分、福島。

というか事前情報で「日本は福島と軍艦島」というのを読んだ気がするけど、後からどちらでもないけど日本だったような……というのを調べたら多分、鹿児島、というのもありました。

最初のうちこそ「ここはどこかな?」と考えを巡らせるのですが、何十秒間の映像を絶えず見せられるので、だんだん余計なことを考えずに見たままを受け入れていくようになります。

すると、廃墟、ということよりも別の事が見えてきて。

自分たちの利便性だけを追求して作ったもの。
豪華に作ったもの。
権力で作ったもの。
争った跡。
富に群がった跡。

しかし、それらは全て今は無人で。

何を持ってしても人の営みの中になければ無意味だというか。

もしくは、ただ、無常観を感じる。

そうだなー。仏教の無常観か、ラピュタのシータの台詞かなあ。

不思議な映画でした。
DVDとか、そういうのを期待出来なかったから速攻映画館へ行きましたけど、機会があればもう一度暗い観たい。



家でこれを集中して観るのは難しそうだけど。



シンゴジラ/庵野秀明



周りの感想を聞くと「エヴァンゲリオンだったね」とか「もっとゴジラに暴れて欲しかった」と庵野監督だからなぁ……というのをよく聞きます。
特に私もゴジラにはもっと暴れて欲しかった。

派手な戦闘シーンを見せて欲しかった。

ゴジラっていったらそれだもんね。
しかも、自衛隊も出てきてもっと!もっと!見たかった。

意外にも面白かったのは冒頭の会議のシーン。
何か起こると、実際の総理大臣も(あんな会議かは解らないけど)あんな風に決断を迫られるのだろうか。

テンポよく、危機感が伝わってくる。
あのシーンももっと見たかったな。
何となく「良かった」というよりは「作りたいものが見えた」映画だったと思う。

カッコイイんだよ。

ゴジラに庵野監督のテイストが入って。

しかし、脚本は本当にパトレイバーの廃棄物13号に似ている。
「パクリだ!」というよりは、パトレイバーのこの話って結構色々なところに影響を与えたり、同じことを考える人が多いんだろうなぁ、と思う。

パトレイバーの廃棄物13号は漫画パトレイバーの7、8巻に収録されています。

実験で生まれた怪物のような生物が、色々な事情で海に放たれるのですが、それを退治すべくパトレイバーに乗った特車二課が出動します。

で、偉い人はその未知の生物に関して退治の方法を会議しているのですが。
拳銃を使えば「肉片が飛び散ったら何がおこるか解らないのでやめて欲しい」
電気警棒を使えば「細胞が突然変異するかもしれないから……」
でも格闘するのに海に入れば長期メンテナンス(メーカー送り)になってしまう。

「でも、陸には上げないで」

と「どないせえっちゅーねん!」とエセ関西弁が頭を過るような展開。

結局、主人公たちが怪物と戦っているのか、身内と戦っているのか、読者も訳が解らなくなってきます。

『踊る大捜査線』なんかもそういうエピソードがありますよね。
(有名な「事件は会議室で起きてるんじゃない!」ってヤツね)

でも、戦闘機とゴジラが戦うシーンなんかは、『Air/まごころを君に』の弐号機の戦闘シーンみたいだった。

いやー、とりあえず戦闘シーンと会議シーンをもっと観たかったです。
動くゴジラをもっと観たかった。

そう言えば、鈴木敏夫さんのラジオか何かで映画の予算がどんどん下がってる……みたいな話があったような……

お金をかけた大作が無条件で良いわけじゃないけど、これはもっと観たかった!



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